莢果堂文庫
(あるいは銀星組合)


作品紹介のページです。


「狐の嫁入り」(短編小説)
大工の太吉は火事場で若い娘を助けるが、生来のお人好しが災いして記憶をなくしたその娘と共に暮らす羽目になり……。
 「覆面作家企画6」参加作品。お題は『火』でした。
 生まれて初めて書いた時代小説です。覆面用に6000字に減らす前の初稿(お紺の名前だけ書き換え)版をあげてみました。お時間のある方は読み比べてみても面白いかも。でも、覆面版の方が過不足なく纏まっているかもしれません……。(原稿用紙換算枚数:18枚)

花果実(シリーズ物)
内気な長女・花枝、快活な次女・果枝、生真面目な三女・実枝。
それぞれ性格の異なる三姉妹が織りなす恋模様。
 「うそつきな花」公開を機に、「とらわれの実」もこちらに移しました。

「クリスマスなんか大嫌い」(短編小説)
十年前のクリスマスに兄を亡くして以来、クリスマスが大嫌いになったみづき。
クリスマスイヴに偶然出会った女の子の口車に乗せられて、一日だけサンタクロースを信じてみることにしたのだが──
 「サンタクロースを待ちながら」「掌の中の星」とリンクしたお話です。「眼鏡祭2」で現在公開中です。でも、眼鏡要素は薄め……。(原稿用紙換算枚数:30枚)

「空に咲く花」(短編小説)
片想いの相手である男友達、河野の家に呼び出された華。
河野は「空」、自分は「花」。空に花なんか咲かない。そう思いこんでいた華だけど──
 「覆面作家企画3”夏”」参加作品です。お題は『空』でした。
 元々は、眼鏡祭用に考えていた話だったのですが、結局書かずにネタとしてストックしていました。『空』というお題で使えそうだったので、覆面作家企画用に練り直したのでした。
 自分ではほのぼの恋愛ものだと思っているのですが……。(原稿用紙換算枚数:20枚)

「雫の森」(短編小説)
雨上がりの森で、恋人と待ち合わせた美樹。だが、約束の時間を三十分以上過ぎ、現れた彼の表情は暗く……。
 「Rain Forest」(野田幹子)という歌からイメージした物語。「森」というのは、実は結構好きなモチーフです。でも、Rain Forestって、本当はそのまま訳すと「雨林」なんですけどね。
 やっぱり、「ねじれる森」よりこちらの方を先に公開したかった……。(原稿用紙換算枚数:13枚)

掌の中の星(短編小説)
従姉のみづきの家を訪ねた佐登子は、間近に迫った高校受験への焦りから、不安な気持ちをみづきにぶつけてしまう──
 「覆面作家企画2」参加作品です。お題が『星』だったので、星づくしにしてみました……が、ものすごく地味な話になってしまいました。
 みづきは元は他の作品の登場人物なのですが、モチーフが一部被るので使い回してみました。
 ちなみに、タイトルは「てのなかのほし」と読みます。(原稿用紙換算枚数:11枚)

「ねじれる森」(短編小説)
大学生の早咲には、九歳以前の記憶がなかった。
そんなある日、父の書斎で見つけた一葉の写真が、早咲の記憶を呼び覚まし──
 本屋の店先で「眠れる森の美女」の絵本を見かけたときに、このタイトルを思いつきました。そこからふくらませたこの話は、ちょっとダークな路線ですので、苦手な方はご注意を。
 「雫の森」とは、ちょうど背中合わせな感じの内容だなぁと思っていたのですが、こちらの方が先に完成してしまいました……。
(原稿用紙換算枚数:40枚)

君の香りに包まれて(短編小説)
女であることを隠し、男として小劇場の舞台に立つことになった恵。
ある秋の夜、ひとり稽古場に残された彼女の前に、人気女装俳優の佑紀が現れて──
 ある企画ものサイトを見ていて思いついた話です。思いついたは良いものの、話がどんどんふくらんで長くなってしまい、途中のエピソードを抜き出して短編にしようとするも、結局間に合わなかったという……。
 とりあえず、そのエピソード抜き出し版を公開します。いずれは、全体を書き上げて全体版として公開したいと思っているのですが。
(原稿用紙換算枚数:29枚)

「サンタクロースを待ちながら」(短編小説)
「いいかい、ちふみ。サンタさんは、本当にいるんだよ……」
7年前に死んでしまった父の言葉を信じ、今もサンタクロースを待ち続けるちふみ。あるクリスマスの夜、そんな彼女の元を訪れたのは……。
 そのものずばりのクリスマス物。かつて、say"A"vol.3に載せる予定で書きかけていたのですが、発行が春に延びてしまったため、書きかけのまま長らく放置されてたものです。今回、ようやく日の目を見ることができました。
 主人公一家のクリスマスの過ごし方には、私自身ちょっと憧れるものがあります。
(原稿用紙換算枚数:20枚)

「With You 〜笑顔のチカラ〜」(短編小説)
中学生の頃、偶然拾った一枚の写真。十年後、その写真に写っていた男性にそっくりな青年と出会った理見は……。
 ようやくの新作です。一応恋愛もののつもりなのですが、あまりそうなっていない気が……。
 今後、シリーズ化する予定です。
(原稿用紙換算枚数:33枚)


SWCまわし小説(リレー小説)
眠りから覚めたとき、わたしはすべての記憶を失っていた。
自分の名前さえも忘れたわたしが、ただひとつ覚えていた名前──「真紀」。
彼女は誰なのか。わたしはいったい何者なのか。
すべての鍵は、彼女が握っている。そんな気がした。
 莢果堂通信#1で言及した、漫研・演劇部OB会「SWC」で継続中のまわし小説を、特別に公開。
 転載をこころよく許可してくれた、SWCのメンバーと管理人Ryukoちゃんのご厚情に深く感謝いたします。

「迎え火」(短編小説・MヨW vol.1収録)
ある暑い夏の日、事故死した夫の新盆の準備をする一人の女。そこへ、彼女の舅にあたる男が現れ──
 MヨWというのは、高校の漫研のOB会の会誌です。なのに、演劇部OBの保篠が参加しているのはなぜだろう……。
 これは、「真夏の迷宮」とほぼ同時期に書いたものですね。
 この話の女主人公の名前は「真紀」。どうやら、保篠は「まき」という名前が好きなようです。ということが最近発覚しました。
(原稿用紙換算枚数:10枚)

「真夏の迷宮」(短編小説・say"A"vol.4収録)
田舎の法事で、大好きな叔父と再会し、眠り込んでしまった藤子は、夢の中で叔父の妻を殺してしまう。夢から覚めた彼女を、悪夢のような現実が待ち受けていた……。
 「闇の猫」と同様、ダークな物語。
 これを say"A"に収録するにあたって、ひとつ仕掛けをほどこしたのですが……。この仕掛けは、現物を持っている人にしかわかりませんね。
 この話では、名前で遊んでいます。登場人物の名前に、それぞれ数が入っているのです。(ちなみに、藤子も、最初は「十子」でした。いくらなんでもそれはあんまりかと思い、藤子にしたのです。)叔父さんが「億」なんて妙な名前なのは、そのためです。
(原稿用紙換算枚数:18枚)

「内緒だよ」(短編小説・say"A"vol.3収録)
高校3年生の茗の一番の理解者は、桜の老木のさくらぎさん。進路のことで悩む茗に、さくらぎさんがくれたアドバイスとは……?
 「隠密生徒会」は、話の展開上、どうしても発行時期と季節が合いません。せめて読み切り短編の方は、季節にあったものにしてみようと書いたのが、これ。
 当初、冬の発行を目指していたのが、遅れて春になってしまったので、あわてて春らしい話をひねり出した記憶があります。
 ところで、この話の主人公の名前は「桂木茗」。さくらぎさんとちょっとかぶってしまってますね。でも、「かつらぎ・めい」って、なんだか語呂が良くて、結構気に入っているのです。
(原稿用紙換算枚数:11枚)

「闇の猫」(短編小説・say"A"vol.2収録)
──何の目的もなく、ただ生き続けるだけの毎日。そんな日々が、ある日突然一変する。そう、あの闇色の猫に出会ってしまったその日から……。
 vol.1から2年4ヶ月後にようやく発行した、say"A"vol.2に載せた読み切り短編小説です。
 「隠密生徒会」も書いていて楽しいのですが、違ったタイプの小説も書きたかったので、vol.2以降は「隠密生徒会」+読み切り短編小説、という形にすることにしました。その形式での第1回目として登場したこの作品は、ちょっとダークなストーリー。
(原稿用紙換算枚数:16枚)


「隠密生徒会」(連載小説・say"A"vol.1〜vol.4収録)
香魚川高校の生徒会には、実は大きな秘密があった。生徒会が表立って動けない時、『隠密生徒会』として事件を解決するのだ──
 記念すべき、say"A"第1号を飾ったのは、学園もの小説、「隠密生徒会」シリーズの第1話でした。「普通の学園もの」のつもりで書いていたのに、できあがったものは、なんだか妙な学園ものになっていました。
 それまで書いていたものとはかなり毛色が違っていて、本人も結構気に入っているのですが、4話で止まってしまっています。機会があれば、また続きを書きたいんですけどね。
(原稿用紙換算枚数:40〜73枚)

「Fantastics」(戯曲)
中学時代、「世界最強のコンビ」として恐れられていたまちこと一子は、高校入学を機に、喧嘩をやめることをかたく心に誓う。ところが、入学早々、祥子と名乗る少女から、力を貸して欲しいと頼まれてしまう。一旦はその依頼を断った二人だったが──
 高校の新入生歓迎公演用。そして、この公演は、私達3年生の引退公演でもありました。
 悩んだり迷ったりする登場人物たちの姿には、当時の私自身がかなり投影されている気がします。
 そういえば、この公演の頃、say"A"vol.1の準備をしていたのでした。
 さて、ここで問題です。保篠はいったいどの役を演じたのでしょう。

「穴」(戯曲)
退屈だけど、平凡な毎日。そんな日々が、いつまでも続くはずだったのに──。夏休みのある日、クラブ活動のため部室に集まった4人の演劇部員が遭遇した出来事とは……?
 高校の文化祭および演劇コンクール用に書き下ろしたもの。上演時間は60分。
 1幕1場、役者4人が出ずっぱりという、なかなかおそろしい作品。でも、コンクールで創作戯曲賞をいただいた、記念の作品でもあります。



・「極上スイーツ(仮)」(長編小説)
砂糖菓子のような女の子になりたかった。そう、ちょうどユキのような──
 「君の香りに包まれて」の全体版です。
 仮タイトルが異様にこっぱずかしい……。

・「君と私のメタモルフォーゼ(仮)」(シリーズ物)
高校二年生の理津子は、高校の先輩でもある藤島ユキの大ファン。演劇部の部長として頑張る理津子だが、新入部員の賀川は彼女に対して妙に反抗的で──
 上の「極上スイーツ(仮)」と話が少しリンクしています。
 時系列的にもほぼ重なっている感じです。

・「空夢綺談(仮)」(シリーズ物)
眼鏡の似合う温和な青年が営む雑貨店、「空夢屋」。偶然その店に足を踏み入れた友佳子は、そこで幻視鏡と空耳のピアスを目にする。その日から、友佳子の周囲で不思議な現象が起こり始めて──
 ファンタジーっぽいシリーズ物。

・「はじまりの夏」(中編小説)
──今年の夏は、なにかが変わる予感がした。
 ある日見た夢が元ネタです。
 主人公の二人があまりにも初々しくて可愛かったので、物語にしてしまいました。

・「ふたり暮らし」(シリーズ物)
高校生の友理は、兄・高広とふたり暮らし。そんなある日、高広が突然結婚すると言い出して──
 かなり以前に考えたキャラクターに手を入れて作った話です。
 友理は名前は元のままですが、設定がずいぶん変わりました。なにせ、最初の設定では、小学生でしたから。高広は、今回新たに作った登場人物。高広の結婚相手である珠紀さんは、名前がまったく変わってしまいました。
 試しに、予告編(JavaScript使用)を作ってみました。良かったら、見てみてください。

・「闇のメサイア」(長編小説)
時は世紀末。ある陰謀に巻き込まれ、『闇の御子』を身籠もってしまった美佳。様々な思惑を胸に、彼女をつけねらう者たち──
 構想10余年にして、いまだ執筆されない幻の作品。あと1作しか小説が書けないとしたら、迷わずこれを選ぶだろうというくらい、保篠自身気に入っているこだわりの作品です。

・「Blue Blood」(長編小説)
その人工生命体は、人間に酷似していた。違うのは、その体を流れるのが、青い血であるということ……。それゆえに、人々は彼らをこう呼んだ。「B.B.──Blue Blood」と──


・「ヴァンフィディア伝説」(長編小説)
 現存する、最古の保篠紗綾作品です。でも、今はとても読めません。
 というのも、ヘタで恥ずかしいうえに、100枚の大学ノートに3冊半という、とんでもない長さの作品だからです。こんなの、よほどの気力がないと、読めたものではありません。
 でも、ヘタはヘタなりに、「書きたい」という気持ちから来る変な勢いがあったように思います。
 内容は、ヴァンフィディアなる星の4人の男女が地球に生まれ変わるという、SFもどきだった、と思います。

・「無題」(まわし小説)

 中学時代、友人と二人で書いていたまわし小説です。100枚の大学ノート1冊分かけても終わらなかったという、未完の作品。
 そういえば、この当時の保篠は、今では考えられない程のハイペースで書いていました(1日に少なくとも原稿用紙10数枚というペース)。この頃の作品に下手くそながらも妙な勢いがあるのは、そのせいでしょうか。この勢いが、今の保篠にあれば……。
 ストーリーは、主人公である中学生の女の子・沙弥(しゃみ)が、養母の死を契機に、自分を養父母に預けた女を、そして自分自身を探そうとする、というものでした。

・「川景色」(中編小説)

 その次に古い作品です。これも、古いだけあって、読んでいるとあまりの恥ずかしさにひっくり返りそうになります。それでも、なんとか読めるだけまだましかも。
 金木犀の香りの漂う川辺で繰り広げられる物語。
 実は、この話には続編の構想があって、今もあたため続けている状態です。ただ、このままでは話がうまくつながらないので、若干設定を変えて書き直そうかと思ったりもします。もしかすると、いつかリライト版をお目にかけることができるかもしれません。

・「っぱ」(戯曲)
大学受験を控えた洋が参加したとあるバスツアー。同行するのは、自殺志願の女やママドルをはじめとする、一風変わった人たち──
 大学で所属していた劇団の新人公演用に書いた作品。
「っぱ」というのは、小学生の頃流行った、牛乳瓶のふたをひっくり返す遊びのことを指しています。ゲームを終わらせることをためらっている洋くんが、最後の一枚をひっくり返し、次のゲームを始める決心をする話。
ところで、主人公の洋くんには「陸子」「空子」という双子の妹がいます。しっかり者の陸子とのんびりした空子、そしてちょっと優柔不断な洋の3兄妹という設定は、けっこう気に入っていたりするのです。

トップ